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自分の「声」で書くために必要なことは?フリーライティングについてご紹介

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文章を書きたいのに、なぜか書けない。書きたいことが頭の中に溢れているはずなのに、いざパソコンを立ち上げると指先が固まってしまう。そのような経験をしたことのある方も多いのではないでしょうか。

野球選手がボールを投げられなくなる、ゴルファーがスイングできなくなるなど、アスリートにしばしば起こる症状は「イップス」と呼ばれていますが、文章を書くという行為にも、同じような症状が起こることがよくあります。

本コラムでは、文章を書く、言葉を紡ぐ、ということに悩んだことのあるあなたに、自分の「声」で書くとはどういうことか、およびその悩みを解決するための技術「フリーライティング」について概要を紹介いたします。

自分の「声」で書くために|言葉はあなたではない

言葉を書くとはどういうことか?まず、その前提を確認しておく必要があります。

それは、「言葉はあなたではない」ということです。

言葉は、よくもわるくもツールです。

ツールである言葉と、あなた自身(つまり「自分」)を最短距離で結びつけるのは、自分の「声」で文章を書くための最適な方法ではありません。

では、自分自身から離れたところで、伝わる文章を紡ぎ出すにはどうすれば良いのでしょうか?

自分の「声」で書くために距離を取る

従来の作文教育では、「あなたの考えを述べよ」とか「作者の考えを要約せよ」ということがよく求められてきました。

その際には、「あなた」と「言葉」は同一視されることが前提とされてきました。

ですが、自分自身で文章を書くために必要なのは、別の距離感です。

自分が言葉を眺めながら、その効果を操る感覚。

手綱の先に命を持った生き物がいて、その生き物の動きに応じて、手綱の距離や方向を調整すること。

そのことで、文章の効果を、対象や目的に応じて調整していくのです。

まずは、上記で記載した前提をイメージしてください。

文章の生産自体は、書籍自分の「声」で書く技術で詳しく紹介している技術「フリーライティング」を、正確に把握して実行すればそれほど難しくありません。

あなたのモチベーションは、問題ではありません。

モチベーションが上がらない時も文章が書けるようになる。そのための「技術」なのですから。

自分の「声」で書くために必要な「フリーライティング」とは?

自分の「声」で書くために必要な「フリーライティング」とは?

この章では、書籍『自分の「声」で書く技術』にて詳しく説明している「フリーライティング」について、概要を紹介いたします。

フリーライティングとは、ライティングを解放するものです。

通常あなたは、あるいは誰でも、自己検閲を行いながら言葉を紡いでいます。

その言葉遣いでいいのか?

批判を受けないか?

評価が下がるのではないか?

恥ずかしく思われないか?

そんなツッコミを予想して、無意識にブレーキをかけながら言葉を選んでいきます。

このように、自分で自分を監視することを「自己検閲」と呼んでいます。

では、この自己検閲のブレーキと、本来あなたが書きたかった言葉を書いて前に進んでいくためのアクセルが同時に踏まれると、一体どうなるのでしょうか?

自分の「声」で書けない状態を回避する方法

自己検閲のブレーキと、本来あなたが書きたかった言葉を書いて前に進んでいくためのアクセルが同時に踏まれた時。

その時、激しい摩擦があなたの中で起こり、その結果、文章が外に出てこなくなります。

これが典型的な「書けない状態」です。

この状態を回避するためのテクニックとして、フリーライティングがあります。

フリーライティングは、アクセルを踏み込むことのみに特化し、ブレーキ動作を無視する技法です。

フリーライティングを実践しよう|その1

フリーライティングのやり方の原則はシンプルです。

頭の中で考えたことを、すべて文字に起こします。

書けないなあと思ったら、「書けないなあ」と書きます。

仮に頭の中が静寂で満たされたなら、しばらくの間待ちます。

人間の頭の中は無数の思念が溢れているので、しばらく待つと言葉が浮かんできます。

ですからそれを書いていきます。

フリーライティングを実践しよう|その2

フリーライティングでは、一定の時間を事前に定めます。

そして、その間は他の作業に移ることを禁止します。

最低でも、10分間。

その間は、言葉を記録することだけを行います。

これが、アクセルに特化する、という枠組みになります。

フリーライティングを実践しよう|その3

数分経つ頃には、言葉が言葉を呼ぶフェーズに入ってきます。

それを追いかけて、文章に残していきます。

言葉を待つ段階から、言葉の後を追いかける段階への移行といえます。

最低10分が経つ頃、あなたの目の前には言葉がたくさん残されていることになります。

それらの言葉を素材に、また次のフェーズに取り掛かっていくのです。

まとめ

本コラムでは、自分の「声」で書くための技術である「フリーライティング」について、その概要を紹介いたしました。

「フリーライティング」についての具体的で詳しい内容は、書籍『自分の「声」で書く技術――自己検閲をはずし、響く言葉を仲間と見つける』で解説しています。

また企業や自治体・教育機関向けに、本書の内容をもとにした自己検閲をはずすワークショップやセミナーも開催しておりますので、ご興味をお持ちの方はこちらからご相談ください。

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